大阪大学
知的基盤総合センター

外国法情報

中国の電子商取引法に関する論文を発表しました

陳 思勤

外国法の動向

 中国では2018年に「電子商取引法」(中国語では「電子商務法」)が制定され、電子商取引における知的財産の全般的な保護規定が設けられた。同法は業法として、その内容は多岐にわたるが、ECプラットフォームの責任については、いわゆるノーティス・アンド・テイクダウンのルールをはじめとした詳細な規定を設けている。これらの規定は、米国の1998年デジタル・ミレニアム著作権法(DMCA)、EUの2000年電子商取引指令をはじめとした立法、日本の2001年プロバイダ責任制限法とは類似点を有しつつ、独自の進化を遂げているものである。世界最大のEC市場を擁する中国法の実践として、理論と実務の両面において重要である。

 本論文は、中国法の従来の状況を概観した後、「電子商取引法」をはじめとする近時の中国の関連立法を整理、紹介したうえで、ノーティス・アンド・テイクダウンのルールに焦点をあて、法施行後の裁判例や学説も踏まえつつ、電子商取引における知的財産権の保護とプラットフォームの責任に関する中国法の現状と問題点を明らかにした。

阪大法学73巻1号 (2023年5月)

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